Oct 12, 2010

御所の空き地展


まずは、上の写真をご覧下さい。
古民家の壁に、お札のようなものがベタベタと
貼り付けられていますが、怪しげな新興宗教ではありません。

前記事でも書きました奈良アートプロム2010
NARAコテンパンダン展のひとつである
「御所の空き地展」の会場なのです。

「御所の空き地展」は、そのチラシが市内の某所に
貼ってあったのをたまたま見て知りました。

面白そうなので、先日鑑賞に行って参りました。

場所は、奈良県の御所(ごせ)市櫛羅(くじら)。
近鉄電車の尺土線の御所駅より、西へ行くこと2kmぐらい。

納屋

牛小屋

今では使われなくなった農家(納屋、牛小屋)を
利用しているようです。牛小屋があるくらいですから
結構古いものではないでしょうか。

ここで、30名弱の作家たちの作品が展示されています。
作品の種類は、インスタレーション、彫刻や平面作品など。

怪しげな雰囲気は、十分漂っています。
お化け屋敷のようで
何が飛び出して来るか、ワクワクします。

それでは、じっくり観ていきましょう。

…と思ったのですが、それぞれの作品にキャプションがなく
作品のタイトルはおろか、どれが誰の作品すらもわかりません。

これは困ったと思った反面、それはそれで面白いかとも思いました。
屋外のインスタレーションなどは、作品とそうでないものの境界が
非常に曖昧となり、作品を見つけ出す作業もまた楽しい。


たとえば、こんな風に
トタンが巻かれたものや

軒下に並べられた絵具の皿なども
もしかしたら、作品なのかもと
思ってしまいます。

実際に作品なのかもしれませんが…。

勿論、明らかに作品と思われるものも
ちゃんとあります。


石油怪獣ベスターのようなもの。


トコロテンの塊のようなもの。


お地蔵さんのような盛り土。


牛乳瓶受け箱の上に
花が活けてありました。
まさか、この中には
ないだろうと思ったら


チョコボールの仏様(?)が
鎮座ましましておりました。

思わず、合掌。南無~。
どんなご利益があるのでしょうか。

こういった宝探し的な
楽しみ方も出来るようです。


中には、実用的な作品もありました。
座る所が瓦になっている椅子。
ちょっとおしゃれです。
これは、欲しくなりますね。




彫刻や、平面作品などは屋内に展示されていました。
平面作品が少なく、物足りない感じはしましたが…。

参加作家さんたちが楽しんでやってらっしゃる
雰囲気は十分伝わって来ます。
たとえるな、文化祭のような感じでしょうか。

欲を言えば、なんらかの形で
作品コンセプトなどの解説があった方が
もっと楽しめたかもしれません。

これからも、こういったアートイベントが
地元で、もっと盛んになることを望みます。

Oct 8, 2010

奈良アートプロム2010

今秋の奈良は、平城遷都1300年祭で盛り上がっていますが
それに合わせるように、奈良では今もうひとつのイベントが催されています。

それが、「奈良アートプロム2010」。

奈良アートプロム(以下NAP)は、奈良に現代美術作家の発表の場、
批評の場を作るために企画されました。
奈良市街、および県内の各地を会場に、同時多発的に開催される
アート・イベントなのです。

NAPは、奈良市内にあるギャラリー(のオーナー)の他、有志が
中心となって運営されているようです。

そのNAPの中心的なイベントとなるのが
今回訪ねたNARAコテンパンダン展。

変な名前の展覧会ですが、おそらく「アンデパンダンテン展」
(出展審査のない展覧会)をもじったものなのでしょう。
また、作品の批評の場ということで、「こてんぱん」に批評されることをも
念頭においているのでしょうか。

NARAコテンパンダン展は、奈良市、橿原市、生駒市、御所市、
けいはん地区など奈良県下の各地で開催。
120組以上の作家が出展しています。


今回、訪ねたのは、今井町(橿原市)。
今井町は、江戸時代の町屋が今も残り、風情ある所。
重要文化財に指定されている旧家もあります。


今井まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」の玄関先に置いてある
NAPのパンフレット、今井町会場のマップをもらって観覧ツアースタートです。


最初に訪ねたのは、森本さんの個人宅のガレージで
展示している西村大樹氏の平面作品。

写真(印画紙)を線香の火などで焼いて
それをアルミ板に定着させるユニークな手法らしいのですが
説明を一度聞いたのですが、今ひとつよく分からないかったです。
でも筆や版画では決して表現できない
非常面白いマチエールの作品でしたね。

作品サイズが非常に小さい(大きくとも手のひらサイズ)のが
少し残念なのですが、作家曰く、そのサイズでないと出来ないとのこと。
元絵を拡大してパネルにすると、また違った面白みが出るかもしれませんね。


次は、嘉雲亭(かうんてい)。民宿の1階が会場。
ここでは写真家・朝河孝元氏の展示方法が非常に興味深かったです。


展示会場が、架空の作家「今井」氏の執筆現場という想定。
奥の座敷に、庭に面するように机が置かれ
その机の上には白紙の原稿用紙。
机のまわりには、いろんな雑誌や本が散らかっていたり
丸められて放り捨てられた書き損じの原稿用紙もあったり…

その雑然とした本や雑誌の中に、作品(写真)が無造作に
散りばめられています。一風変わった展示方法で最初は面食らいましたが
なるほど、こういうのもありかと思いましたね。


重要文化財の旧米谷家(きゅう・こめたにけ)では
平面作品が中心の展示。ここの展示には仰天しました。

額装した絵が座敷の畳の上に整然と並べてあるだけ。
最初は、まだ展示準備中なのかなと思ったほど。

場所(家)が重要文化財なので、釘など打ったりできず
絵をかけることができず、結果こういう展示になったのでしょう。

なるほど、さきほどの朝河氏の展示も
こういった理由がゆえの結果かもしれないですね。
でもさすがに、この展示には抵抗があります。

こういうケースの時は、簡易イーゼルが考えられますが
そのためだけにイーゼルを用意するのも、経済的に困難でしょうし
イーゼルを立てるスペースが必要なため
あまり多くの絵を展示できなくなる問題もあり、一長一短。

まあ、せめてテーブル(長机)を用意して、その上に並べるかして欲しい。
と思いましたが、それだとかえって絵が鑑賞しにくいか。


今井まちや館、恒岡金物町屋では
平面作品や陶芸などの立体作品の展示。
このあたりは若い作家さんの出展が多いのか、会場は賑わっていましたね。

今井町にもギャラリーが一軒だけあるようです。


ここでは、薮本栄衛氏の元気童子展をやっていました。
陶製の童子人形なのですが、どれもユーモラスで楽しげ。

一体欲しくなりましたが、結構なお値段で手が出なかったです。
自分で作ってみたくなりますね。

以上、NARAコテンパンダン展(今井町会場)の様子でした。

NAPは、ビエンナーレ(2年に一回)やトリエンナーレ(3年に一回)ではなく
トビエンナーレ(2、3年に一回、つまり飛び飛び?)で
今後も実施していくとのこと。期待が高まります。

こういったアートイベントは今後も続けていって欲しいですね。